こんにちは。
先日、本屋大賞2026が発表されましたね。
朝井さんの『イン・ザ・メガチャーチ』が1位ということで!!おめでとうございます!
小説を読むことから少し遠のいていた私でしたが、この本を読み、内容が衝撃的すぎて中毒症状を起こし(笑)、今再び小説にハマっております。
そのきっかけをくれた本、朝井さんに大感謝です。
そんなかんじで、本屋大賞にノミネートされた本も読みたいなーと思いまして、何冊か購入しました。
今回読んだのは、本屋大賞5位だった湊かなえさんの『暁星』。
湊かなえさんの作品は、これまで何冊か読んだことがありましたが、今回もやっぱり一筋縄ではいかない作品でした。
暁星
あらすじは以下のとおりです↓(湊かなえ 双葉社HPより引用)
現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教「世界博愛和光連合(通称:愛光教会)」に対する恨みが綴られていた。暗闇の奥に隠された永瀬の目的とは──。
物語は「暁の手記」から始まります。
読み始めてすぐに、統一教会の事件を思い出しました。
宗教によって、ここまで人生が狂ってしまうのかと、暁の不遇に心を痛めながらも、この物語がどこに向かっていくのか全く見えないまま、読み進めていました。
そして気になったのが、本の帯に書かれていた「愛の物語」という言葉。
正直読み進めている時点では「どこに愛の要素あるの…?」と疑問に思っていました。
…が、あることがきっかけで、一気に物語の見え方が変わりました。
(※ここからネタバレ含みます。)
それは、もう一人の主人公の登場。
そしてその人物が、手記の中でほんの少しだけ名前が出てきた作家・金谷灯里(仮名:星賀、本名:星子)だったと分かった時は、かなり驚きました。
最初は、「目撃してしまった作家は大丈夫かな…」と思う程度で、そこまで重要な存在だとは思ってもいなかった分、物語の核心に深くかかわっていたことが明らかになった時の衝撃は大きかったです。
金谷灯里のフィクション『金星』を読み進めていくうちに、暁の出会いから最後の事件へと繋がっていく流れが明かされ、それまで点だったものが一気に線でつながる感覚がありました。
1回目は、この構造の巧みさに圧倒されて、正直しっかりと読み込めていない部分もありました。
伏線を回収しきれていない部分もありました。
だからこそ、ただちに2巡目。
一文字ずつ丁寧に追っていくと、暁の手記の中に、確かに“星子への想い”が散りばめられていることに気づきました。
1回目ではただの独白のように感じていた言葉たちが、2回目では全く違う意味を持ったものになっていました。
さすが湊かなえさん。あっぱれです。
中でも心に残ったのが、1個のシュークリームを分け合う際に、暁生(本名:暁)が3分の2の大きさで割ったシーンでの星賀(本名:星子)のことば。
「私のは二等分で、暁生くんのが本物の半分こだよ。輝生くんといつもそうやって分けてたんでしょ?」(p.270)
手記だけ読むと、読者に対して挑発的に書いている部分もあったことから、暁の性格、本質的な部分が見えてこなかったのですが、この一言で、見えにくかった暁の本当の優しさを感じることが出来ました。
また、
「夢は必ずしも叶えるためにあるんじゃない。生涯叶うことはなくとも、その存在が自分と同じ世界にあることを知るだけで、人はほんの少し強くなれる。」(p.321)
この言葉も強く印象に残っています。
夢は叶えるものという考え方が一般的ですが、「存在を知ること自体が生きる支え、目標となる」という視点には、はっとさせられました。
そして、
「私たちは、一人ずつの人生がたった六回だけ交わったのではなく、一つの人生を半分こしていたのかもしれない」(p.354)
という言葉。
この言葉を読んで、本の帯に書いてあった「究極の愛の物語」に心から納得しました。
暁が逮捕されて、これからどうなるか分からない。
それでも、「同じ世界に存在している」という事実だけで支えになる相手がいるのは、彼らの人生の中では一筋の光であり、生きる目標となっているんだろうと感じました。
(このあたりは、この間読んだ「正欲」に出てくる登場人物・佐々木佳道と桐生夏月の関係性に通ずるものがあるなーと思いました。)
読み終えた後はスッキリするというよりも、静かに余韻が残る作品でした。
そして何より、伏線の張り方と回収の巧みさが際立った1冊だと感じました。
ただひとつだけ、どうしても分からなかったことがあります。
暁の父の遺書は、結局何だったのか。
ここだけは、2回読んでも答えにたどり着けませんでした。
時間を空けて読んだら、見えるものがあるのかな…。

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